学 校 名
京都外大西高等学校
 
 
指定期間
平成17年度 〜 平成19年度
 
課  題
 使用頻度の高い英語の語彙表を用い、学習者の意欲を高めながら能率的に語彙を増やし、文語、口語を問わず、あらゆる英文テキストの91%以上を理解できるようにし、更にそれらの語彙を運用できるようにする方法の研究開発
 
設定理由
 近年、生徒の英語の語彙力の低下が著しいことから、語彙力向上のために単語集や例文集を選定し、一定の範囲を指定し小テストを繰り返す「単語増加法」を採用している。しかし、単語の記憶の仕方や、どの単語を覚えることが少ない労力で大きな効果をもたらすことができるかという研究や統計に基づく「語彙力増強法」を指導できる教師は非常に少なく、楽しみながらゲーム感覚で語彙を増やす方法の紹介となると、自信を持って行える教師は皆無と言わざる得ない。
 そこで、本校では使用頻度が非常に高く、いかなる英語のテキストであれ、その内容の91%以上を理解できる語彙を増やし、更に「ゲーム感覚」で楽しみながら語彙力を増強させる方法の研究開発を行う。
 
対  象
国際文化コース 約80名
 
研究内容
 使用頻度の高い順に配列された「英語語彙表」を活用し、まず受容のための語彙、その後の発表のための語彙として学習させる。

 覚えた単語を用いる機会を繰り返し提供することで、その単語を流暢に使えるようにさせる。

 単語を総合的に学習させ、文脈の中で正しく使えるようにさせる。

 辞書を活用し、接辞の意味の理解力や未知の単語の推測力の強化を図る。

 語彙力増強のための学習進捗状況を確認させ、読書による語彙力のアップを実感させることで学習意欲の増加を図る。
 
これまでの
取り組み
 本校では平成元年の国際文化コース設置に伴い、従来の英語教授法では4技能の修得は覚束ないという考えから、
  1.  ESLの資格を有する Native Speakers of English に英語教育の大半を任せた。
  2.  科目名は、分かりやすい、リスニング・スピーキング・リーディング・ライティングの4技能そのままの名前とした。
  3.  教育効果を挙げるため、クラスを2分割、あるいは3分割の少人数制とした。
  4.  評価システムは、日々の授業参加状況や宿題、あるいは課題実施状況が大きく反映できるように改善を図った。
  5.  授業内容は、原則的に各ユニット毎に6週間を費やし、リーディングの成果をリスニングに、リスニングの成果をライティングに、ライティングの成果をスピーキングに活用するという科目横断的な方法を取り入れ、その集大成として「模擬国連」を行っている。
などに取り組んできた。
 このように徹底した英語教育を実施した結果、平成5年頃には ITP TOEFL のクラス平均が 500点近くにまで伸びた。この時期に記録した最高得点は 627点(約1ヶ月の海外滞在経験しかない生徒)で、その後暫くして別の生徒が 600点台を記録している。
 また、本校では英語教育の一環として、様々なプロジェクトに生徒を参加させているが、その中でも最も大きなプロジェクトが「模擬国連」である。今年で14回目を迎えた模擬国連には、近畿圏の高校から約 200名の生徒が参加し、様々な議題について討論を行うが、その実施には高い4技能の能力が要求される。そして、この模擬国連に向けた実質的な学習活動は3年次の春休みから始まるが、本校の英語教育では1年次からこのための訓練を始めている。
 この学習活動を通じて、生徒たちは素晴らしい情報収集力、分析力、交渉力などを身に付けるだけでなく、国連の機能や国際政治のダイナミズムを理解する、本校が誇りうるプロジェクトとなっている。
 その他のプロジェクトとしては、ミュージカル、英語劇、映画製作など、4技能を駆使した創作活動に取り組んでいる。
 このように、英語教育とは単なる座学ではなく、生徒が参加し、創造し、発表するという過程を経ることで、楽しみながら英語力が向上し、英語のスキルが上げられるというメッセージを英語教師に投げかけているように思われる。
 
解決すべき
課題
@ 語彙一覧表の決定と受容語彙・発表語彙暗記法の研究
A 記憶した語彙を流暢に使える能力向上法の研究
B 形態、意味、発音、語法などの観点から語彙を深く理解させる方法の研究
C 高頻度と低頻度語彙攻略法の研究
D 語彙力をつけるための意欲増加法の研究